−ガムとおじさん−



タバコを吸いながらおじさんが言った。
「タバコは俺にとって恋人みたいなもんだな」

タバコを吸い終わっておじさんが言った。
「今ので最後の1本だったんだ、ちょっくら新しいのを買ってくるよ」

僕も一緒に行くことにした。

ガムを噛みながらおじさんが言った。
「ガムは俺の人生そのものさ」

ガムを噛みながらおじさんが言った。
「噛めば噛むほど味がなくなる」

ガムを噛みながらおじさんが言った。
「頑張れば頑張るほど、ダメになる」

言い終わると、沈黙が続き、数時間たった。

それでも、おじさんはガムを噛み続け捨てないのだ。


[作]山田まるお


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