−空虚と求愛−

電話が鳴ったので受話器をとった。

「私が死んだらどうしますか？」
「関係ねーよバカ」
「じゃー私が他の人を好きになったらどうしますか？」
「関係ね−よバカ」
「本当はあいつ等が羨ましいんでしょ」
「関係ねーよバカ」
「荒い運転を上手い運転だと勘違いしてるんでしょ」
「関係ねーよバカ」
「ちょっとカチンときてるんでしょ？怒ってもいいんですよ」
「関係ねーよバカ」
「本当は夢なんか無いんでしょ？」
「関係ね−よバカ」
「夢を追っていたいんでしょ？」
「関係ね−よバカ」
「安っぽいドラマの主人公みたいに夢を追い続けるんでしょ？」
「関係ね−よバカ」
「あなたの本当の夢は夢を追うことだわ」
「関係ね−よバカ」
「いいわ　あなたに夢がある事にしてあげる」
「関係ね−よバカ」
「あなたもう３１歳でしょ？夢を追うのもいいけど夢がかなう頃にはジジイになってるわよ」
「かっ！ジジイになるのも俺の夢のひとつだよ」
「でもあなた何も出来ないでしょ？」
「なんでも出来るよ！その気になれば小さいスコップで大きな山の形だって変えてやるよ！
お前こそ何が出来るんだよ遠くからいきがってるだけじゃねーか？いや案外近くだったりするよな」
「関係ねーよバカ」ガチャガチャ　ツーツーツー

電話が切れたので受話器を置いた。

[作]山田まるお

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