−お風呂で潜った理由−


大好きな人が、まわりの人間から嫌われていることに気付いた。
僕は悲しくて、お風呂で潜った。

二十年前

小学校に入学した。
嬉しくて僕はお風呂で潜った。
初めてテストで100点を取った。
嬉しくて僕は、お風呂で潜った。
初めてテストで0点を取った。
恥ずかしくて僕は、お風呂で潜った。

僕の大好きなお母さんが、僕の大好きなおばあちゃんの悪愚痴を言った。
その日も僕は、お風呂で潜った。

中等部に上がり僕にも恋人ができた。

学校の帰り、公園のベンチで、彼女から相談を受けた。
「父さんの浮気が原因で親が離婚する事になったの、私は母さんについていきたいの、だけど母さんに付いて行くと母さんの実家がある北海道の学校に転校する事になるの!貴方とも、はなればなれになるわ」そう言うと彼女は、泣き崩れた。

僕はためらいながら、声をかけた。
「一緒にお風呂で潜ろう!」
彼女は、怒り出した。
「お風呂で潜って、何が解決するっていうの!私が真剣に悩んでるって言ってるのに、ふざけないでよバカ!」

次の日 彼女から電話で別れを告げられた。結局、彼女は母について、北海道に転校することに決めたらしい。

初恋終日  やっぱり僕は、お風呂で潜った。

[作]山田まるお


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