−追い風で溶けたアイスクリーム−



やっぱり楽しく生きて行くには勢いが必要だよ
勢いがある奴はカッコイイし関係無いし
勢いが必要だよ台風みたいな勢いが
その勢いは僕が作るんだ神様が人間を創ったように
僕が僕に勢いを…

ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ

目覚まし時計が部屋中を重くする。。
生まれ変わった僕が目覚し時計を止める。
2分くらい爆笑してると母が僕の部屋のドアをノック無しで開けて言った。
「朝からウルサイよ。気が狂ったのかい?」
「ああ そうかもしれない」
それだけ言い残し僕はパジャマのまま部屋を出て階段を下り家も出た。
外に出ると馴染みの顔が僕に言う。
「どうしたんだい?そんな格好で」
僕が「追い風を待ってるのに飽きたのさ」
と応えると馴染みの顔の動きが止まる。
そして僕は僕の勢いが止まらないことを悟る。

勢いだやっぱり勢いだ
勢いが付くと同じ景色も違って見える
何だって出来る気持ちがする
勢いが付いたんだ僕に勢いが
学校に行く時間はとっくに過ぎてる
そんな事は関係無い
朝から何も食べてねーな
そんな事も関係無い そう勢いが付いた僕にはどうでも良いことなのだ
裸足でパジャマ姿の僕をジロジロ見る知らない顔に右手でグーを作って掲げて僕が言う。
「今まで出来なかったこと全部を片付けに行くんだ邪魔してもいいよ」

まずはアイツだ。アイツが僕を誰よりも苦しめた。これであの地獄のような苦しみともお別れだ。
歩く速度が上がる。どんどんアイツに近づいていく。
学校の隣にあるコンビニのドアを勢いよく開けて僕は叫んだ。
「毎日、学校帰りにアイスクリーム買ってて、昨日アナタにアイスクリーム好きなんですね。って
言われて、ハイ好きです。と応えた者ですが僕が本当に好きなのはアナタです。卒業したら結婚してください」

クーラーの風でパジャマの裾が揺れる。勢いは止まらない。

[作]山田まるお


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