− ラーメン−
友達と買い物に出かけた。
ラーメン屋のまえで、女が男を殴っていた。
女は叫びながら平手や拳で、時には蹴りをおり混ぜながら殴っていた。
男は、あやまっていた。
殴られながら謝っていた。
僕らは昼食をとり、買い物を済ませ、またラーメン屋のまえを通りかかった。
「まだやってるよ!あのカップル」
と友達が言った。
「まだやってるね、あのカップル」
と僕がこたえた。
女が男を殴っていた。
平手や拳で、時には蹴りをおり混ぜながら殴り続けていた。
男は、謝っていた。
顔は、はれあがり鼻血を出しながらひたすら謝っていた。
僕らは家に戻り、テレビゲームや昔話に笑った。
つぶやくように、友達が言った
「まだやってるかな?あのカップル」
「2回目、見てからもう3時間だよ、やってるわけ無いよ」と僕がこたえた。
「行ってみようか?」と友達は言った。
「行ってみようよ!」と僕はこたえた。
ラーメン屋のまえに行くと、女が血を流して倒れていた。男の姿は、どこにもなかった。
「おまえ今日、誕生日だろ」
友達が笑った。
「忘れてた!ぼく今日、誕生日だ」
ぼくも笑った。
[作]山田まるお
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