-鉄砲-


夜の街・・

人通りの少ない橋の上で、小さい男がギターの上に乗っかって演奏を始めた。足や手や腹を使ってギターを弾きながら歌い続けた。
どんどん人が集まってきて小さい男もどんどん気持ち良くなっていった。集まってきた中の一人が小さい男にむかって「チビ助」と言った。
小さい男は短気だった。ギターでそいつの頭をぶったたいてやろうと思い立ち上がりギターをつかんだ。
ギターは持ち上がらない。
その日その場所で誰も血を流すことは無かった。

[作]山田まるお

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