−トンカツ−



 豚が言った。
「人間は生まれた瞬間から寂しいんだよ」
「死ぬ瞬間まで寂しいんだよ」
「意識が無くても寂しいんだよ」
「眠っていても、笑っていても 怒っていても、寂しいんだよ」
「お母さん=寂しいです。お父さん=寂しいです。恋人=寂しいです」
「カッコイイ=寂しいです。カッコ悪い=寂しいです。普通=寂しいです」
「僕は強いよ!だって僕より強い奴、見たことが無いから。と言ってた奴が死にました」
「僕は弱いよ!だって僕より弱い奴、見たことが無いから。と泣いてたガキが死にました」
「だから私は だから私は ウッ ウッ」
 豚が泣きだした。

腹が立ったので僕は「黙れ豚!もう帰れ」と言って、裸で泣く豚をベッドから蹴り落とし、豚のカバンと豚の服を豚に投げつけて浴びせるように言った。「別れよう」

僕は叫んだ「もうウンザリだ」 豚も叫んだ「ブー」

[作]山田まるお


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