-超能力-


僕は、時間を止めることができた。
時間を止めると言っても、自分以外の人、一人だけに限られていた。
その力に気付いたのは、小学生のときだった。
使いみちは、家に遊びにきた女友達に、いたずらしたり、駄菓子屋のババアの時間を止めて、お菓子を盗んだり、その程度だった。二人きりでいるときで、しかも第三者に見られる可能性が無いときでしか、悪いことはできなかった。
大人になるになるにつれ、徐々にむなしくなってきて、その力をあまり使わなくなった。
ある時、友達の部屋でくつろいでいると漫画雑誌を読み終えた友達が言った。
「この漫画の続きが見たい、早く一ヶ月たたねーかな」
僕はあの力のことを思いだし、友達の時間を止めてやった。それから僕は家に帰り、一ヶ月がすぎた。
僕はコンビニで友達の読んでいた雑誌の最新号を買って行き、友達の部屋に挨拶なしで入った。友達の時間は完全に一ヶ月前の状態で止まっていた。
僕は友達の時間を動かし、「お前の時間を一ヶ月、止めてやったよ」と言って、漫画の続きを渡した。友達は驚いた顔ひとつせず「これ!返してきてね」と言ってレンタルビデオの袋を僕に手渡した。

[作]山田まるお


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